山本 ドキドキ|寂しい夏におぼえた日本酒
ときめく夏が来なくなって久しい。日々仕事に追われ、ようやく一区切りつく週末に、遅くまで開けている居酒屋で酒を飲む。
そんな中、ひと夏に一度は注文するのがこの酒。はじめて出会った夏には、その怪しい出立に戸惑いを覚えたものだ。さらには、「セクスィー山本酵母が使われている」と胡乱な目で説明する店主を見て、耳が熱くなるのを感じてしまった。
この酒は、ハッキリ言って美味い。しかし、ふつうの美味さとは違う。そのセクスィーは、通常のものにはない独特の苦みを生み出し、それがついつい忘れられなくなる…
今年もまた、ドキドキを求めて暖簾をくぐる。こんな俳句を携えて。
くちびるに触れてとけせぬ花氷 (陰)