【2025年夏】東京の中心部でありながら、どこか懐かしい昭和の風情が残る街、大塚。近年、日本酒の聖地として密かに注目を集めるこの街で、私はOMO5東京大塚に宿泊し、心ゆくまでその魅力を堪能する旅に出かけました。都会の喧騒から一歩離れた大塚は、都電荒川線がガタゴトと音を立てて走る、どこか旅愁を誘う場所なのです。
OMO5東京大塚を拠点に大塚散策へ
大塚駅北口に直結するOMO5東京大塚は、星野リゾートが手掛ける「旅のテンションをあげるホテル」をコンセプトにしたホテルです。スタイリッシュでありながらも、どこか遊び心のある空間は、まさに大塚の街が持つ多面性を象徴しているようです。チェックインを済ませ、荷物を置くと、私はすぐに街へと繰り出しました。
OMO5東京大塚では、ご近所ガイドOMOレンジャーが案内する「大塚はしご酒ツアー」という魅力的なサービスもあることを知りました。地元のディープな酒場を巡るツアーは、きっと大塚の新たな魅力を発見させてくれることでしょう。今回は自身の足で街を探索することにしましたが、次回訪れる機会があればぜひ参加してみたいと思いました。
東京大塚のれん街での贅沢なはしご酒
私がこの日向かったのは、ホテルのすぐ横にある「東京大塚のれん街」です。かつては歓楽街だった場所をリノベーションし、個性豊かな飲食店が軒を連ねる横丁は、昭和レトロな雰囲気と現代的なおしゃれさが融合した魅力的な空間でした。初めて訪れる私でもすんなりと溶け込める懐かしさがあったのです。
まず一軒目に選んだのは、活気あふれる「魚屋みらく劇場」。暖簾をくぐると、威勢の良い掛け声が飛び交い、店内の賑わいに引き込まれます。ここでは、新鮮な魚盛りと、喜久盛酒造の日本酒「タクシードライバー」をいただきました。口の中でとろけるような刺身の旨みと、「タクシードライバー」のシャープな口当たりが相まって、至福のひとときを過ごせました。
二軒目は、土用も近いとあって、鰻の串が自慢の「大塚 う福」を選びました。香ばしい匂いが漂う店内に入ると、食欲がさらに刺激されます。ここでは、様々な部位の鰻の串焼きを注文し、珍しい「うなぎのためのワンカップ」と一緒に楽しみました。庶民的な雰囲気の中で、美味しい料理と日本酒を囲み、隣り合わせたお客さんとの会話も弾み、東京大塚のれん街ならではの一体感を感じることができました。
幻の十四代と都電荒川線の誘う旅情
東京大塚のれん街での活気あるはしご酒を終え、私がどうしても訪れたかった店があります。「串駒本店」です。日本酒好きの間では知る人ぞ知る名店で、十四代を掘り起こしたともいえる酒場の聖地として有名です。東京大塚のれん街を後にし、私は満を持して「串駒本店」の暖簾をくぐりました。
店内は、カウンター席と小上がりのある、こぢんまりとした空間です。壁には、日本酒の一升瓶が並び、その中にはお目当ての「十四代」の姿も見えました。席に着き、迷わず「十四代 本丸 秘伝玉返し」を注文しました。透き通るような色合いの日本酒を一口含むと、ほのかに感じるバナナのような吟醸香、そして口の中に広がる米の甘みとキレの良さ。それを、優しい料理とともに味わう時間は、まさに至福の一言。
大塚の夜を彩るのは、日本酒だけではありません。都電荒川線の存在も、この街の魅力を語る上で欠かせないものです。都心では珍しくなった路面電車が、生活の中に溶け込むように走り、ガタゴトと揺れる音は、どこか懐かしい故郷を思わせます。高層ビルが立ち並ぶ東京にあって、都電荒川線の走る大塚の街並みは、まるで時間が止まったかのような錯覚に陥るほどです。特に夜は、この路面電車が都会の喧騒を忘れさせ、旅情を掻き立てる隠れた名脇役となるのです。
OMO5東京大塚に宿泊し、東京大塚のれん街で魅力的なはしご酒を楽しみ、そして「串駒」で念願の「十四代 本丸 秘伝玉返し」を堪能する。大塚の街は、日本酒の奥深さと、どこか懐かしい温かさに満ちていました。都会の片隅で、ゆったりと流れる時間の中で、心ゆくまで日本酒と旅情に浸る。大塚は、そんな贅沢な体験をさせてくれる、唯一無二の場所だと改めて感じた夜でした。