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朝顔を龍にした俳人と蕎麦

栄光冨士|思いがけずも夢中になった朝顔ラベル

栄光富士と俳句梅雨は明けたが8月の空。はやも朝顔が咲き、次の季節を匂わせる。
今年の立秋は8月7日。昨日は、ようやく現れた晩夏の太陽を浴びながら、往く夏を惜しんだ。場所は雑司ヶ谷の法明寺。ここに、「蕣塚(あさがおづか)」と呼ばれるものがある。
蕣塚は、朝顔の彫金で有名だった戸張富久の句に、酒井抱一の朝顔が入った石碑。今は注目する人も少なく、境内の植え込みの中にひっそりと佇んでいる。
戸張富久は元祖藪蕎麦とも目される人物で、晩年には「喜惣次」と称し雑司ヶ谷に蕎麦屋を営み、酒井抱一や大田南畝といった当時の文化人との交流を深めていた。栄光富士と俳句
ただ、蕎麦の評価は微妙である。大田南畝は、「見渡せば麦の青葉に藪のそば きつね狸もここへ喜惣次」と歌っているものの、汁が悪いものだから蕎麦汁を持参して食べに行く者がいたとか。

富久の店はもうないが、名店「藪」にあやかる店は数多い。昨夜はそのひとつで、栄光富士の朝顔ラベルという酒を飲んだ。アテは夏蕎麦。蔓のように箸にまとわりつく麺を流し込めば、心の中に花開く。思わず調子に乗りすぎて、酔いをさますに一苦労。主人に水をもらって、「朝顔に心とられてもらい水」。
ところで、蕣塚の句は

蕣や久理可羅龍のやさすがた

朝顔を、不動明王の剣に巻き付く龍に見立てたものだ。ただ、境内に朝顔を見つけられなかったことは残念であった。

▶ 栄光冨士 朝顔ラベル

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