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雨ニモマケズ

花の香|苦難にこそ香り立つもの

花の香またも熊本が襲われた。熊本地震では、あの赤酒がやられた。今回は球磨焼酎が、大きな痛手を受けていると聞く。日本酒党にとっても、九号酵母の故郷だけに、心配の種は尽きない。
そんな中、花の香酒造のホームページに、「営業再開」の文字を見てちょっと胸をなでおろす。

花の香は、明治35年に妙見神社所有の神田を譲り受けて酒造りを開始したという、由緒ある酒造。獺祭で修業した蔵元が送り出す日本酒は、盤清水という御神水と地元で自社栽培した米を用い、熊本の誇る9号酵母で醸し出される美味い酒。焼酎が幅を利かせる熊本にあってもその名は轟き、日本だけでなく、世界中の日本酒ファンを魅了している。
マケルナ熊本!

雨又も降りきし花火つゞけ打つ 星野立子

▶ 花の香
▶ 星野立子

日本一の人気酒

嫌われ者の夏

無風|知ればくせになる日本酒

無風「無風」と書いて「むかで」と読む。ラベルを見れば、手に取るのさえ躊躇われる酒。
出会いは場末の酒場。壁に貼られたメニューを目で追い、「むふう」と声を張り上げると出てきたのがコレ。もっきりで注がれた横に、店主が悪戯っぽく瓶を並べ、「もっと勉強しな」と笑ったのを覚えている。
しかし、どのようにしても「むかで」とは読めない。胸ポケットから取り出したペンで「百足虫」と書いて講釈を垂れると、店主は「同じじゃないか」と高笑い。「百足虫」だって、「むかで」とは発音できないと。さらに、

百足虫憎し一家の長の吾をさす

という百合山羽公の俳句を持ち出すものだから、こちらは何も言えなくなってしまった…日本酒無風

無風の夜は、あつかった。けれども、苛立ちの中で口にしたそれは意外---
「無風」のラベルは、前進しかできない百足虫にあやかり貼り付けられているという。その怪しい佇まいからは想像もできない奥深さをもつ酒。優しい甘さに満ちあふれた日本酒であった。

▶ 無風

日本一の人気酒