花が散るとき側にある酒

花陽浴|春を惜しむための美味い日本酒

花陽浴純米大吟醸山田錦花が散るころ、この酒を探す。10年近く前にメディアに出てから入手困難になってしまった酒で、値段も非常に高騰してしまった。時間があれば、埼玉の酒蔵まで車を走らせるが、今年はそうもいかなかった。
酒の名前は花陽浴(はなあび)。その花陽浴の純米大吟醸山田錦。酒米の最高峰である山田錦を、40%まで磨き込んだ日本酒。最近になって色々な美味い日本酒が登場したが、この日本酒だけは特別だ。単に美味いだけではない。まさに花を思わせる芳香に、口に含めば甘酸っぱく広がる他の日本酒にはない特殊な深い旨味。
この時期の喜びは、桜の散る中でこの酒の詰まったブルーボトルを傾けること。けれども今年は、道の向こうの桜を窓越しに眺めながら、グラスを取る。

やはり美味い。今日は一杯だけやって、そして、冷蔵庫に。寝かせて3日待てば、また違った旨味が広がるから。これが、この日本酒の楽しみ方。
俳句も同じだ。即興で味わったものと日を置いたものでは、その趣に違いが生じる。松尾芭蕉の名句

さまざまのこと思い出す桜かな

を胸に酒を飲み、酔いが醒めて散り初める朝のように。

▶ 花陽浴 純米大吟醸山田錦

日本一の人気酒

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