利休道歌を実直に醸す

守破離|菜の花の酒蔵に生まれる伏見酒

松本酒造の守破離三大酒処のひとつ京都伏見に、松本酒造がある。新高瀬川沿いにある酒造場は、映画などにも度々登場するビューポイントで、特に菜の花の季節が素晴らしい。蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」の句が、最も似合いそうな場所である。

その松本酒造のブランドに、「澤屋まつもと守破離」がある。「守破離(しゅはり)」は、利休道歌の「規矩作法守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」から来たもので、独自の境地に立つにも基礎が重要であることを説いている。
ブランドを立ち上げたのは、幻の料理人として知られる松本庄平氏。料理人が開発しただけあって、ただ旨いだけの日本酒ではなく、料理によく合うものが、季節に応じて様々な顔をして登場する。

昨年のこの季節、「No Title」と名付けられた一本を空けて、

春の暮家路に遠き人ばかり 与謝蕪村

を体現した。今年は、ゴールデンウィークに向けてネットで注文。届いたら、「春の暮家に籠って飲むばかり」といこう。
因みに「No Title」は、課題が残っている酒であることを暗に示したもの。昨年と比べてどうなったか、楽しみなところである。

▶ 澤屋まつもと守破離

日本一の人気酒