尾崎放哉が詠んだ酒の俳句
酒で身を持ち崩したとも言われる尾崎放哉。はやくから酒に浸り、一高時代には既に「酒のまぬ身は葛水のつめたさよ」の俳句がある。就職はしても、酒のために借金し、職務怠慢で仕事も転々とした。そんな中、禁酒の誓いをたてて入社した朝鮮火災海上保険会社では、禁酒を守れずに約1年で退社している。
放哉の随筆「俺の記」(1905年)には、
酒ぐらゐ微妙な物は無い。詩的な物はない。
という表現がある。この随筆から察するに、飲むほどに陽気になり、気が大きくなっていく人物だったようである。ただ、それを快く思う者は少なかったと見える。
酒のまぬ身は葛水のつめたさよ
酒もうる煙草もうる店となじみになつた
ゆうべ底がぬけた柄杓で朝
酔のさめかけの星が出てゐる
尾崎放哉ゆかりの日本酒
【放哉】
尾崎放哉の故郷・鳥取の中川酒造は、強力米を復活させたことで有名であるが、その中川酒造がかつて、特別純米酒「放哉」を醸造していた。